進取の気性と情熱に溢れたアルチュールは、
ワインの世界で独自の道を模索し、創造性と
新たな地平を切り開きたいという
強い想いを抱いていました。
彼は様々なブドウ品種、醸造、熟成を実験しながら、
時間を見てはブルゴーニュやジュラのドメーヌを訪問し、
ヴィニュロン達と交流を深めました。
そして、7年間の内省を経た2021年、
家業のブランドは別に、
自分名義のブランド『アルチュール・ルリエーヴル』の
シャンパーニュの醸造に着手したのです。
こうして、2023年末に3種類のキュヴェをリリースして
メジャーデビューを果たしたのです。
ドメーヌでは、手摘みで収穫したブドウを
樽醗酵・樽熟成させます。
228リットルと350リットルの容量の異なる
オーク樽で野生酵母で自発的に醗酵を行います。
毎年20%の新樽を慎重に導入し、冷涼な地下セラーで、
ゆっくりと穏やかなプロセスで醗酵を行っています。
ブドウは品種毎、リューディ毎、別々に醸造されます。
その後、窓や扉を開けて自然な低温状態にして、
ノンマロに誘因しますが、マロが起こった場合は
自然に任せています。
リキュール・ド・ティラージュは、
原酒のヴァン・クレールと
ビオのテンサイ糖を使用しています。
デゴルジュマンは月の満ち欠けに合わせて行っています。
現在ドメーヌの栽培面積は10ヘクタール。
大部分がリュードにありますが、一部Taissyタイシーや、
ヴァレ・ド・ラルドルのLagery ラジュリーの村にも
小さな区画を持っています。
北向きの冷涼なミクロクリマの
恩恵を受けるリュードでは、
歴史的にムニエの栽培比率が高く
(リュードの村全体の1/2で
ムニエが栽培されています)、
ドメーヌも栽培品種の46%がムニエで、
ピノ・ノワールが36%、シャルドネが18%の比率です。
そして、区画の殆どが北向きです。
温暖化が進む中、リュードはもっと注目が集まっても
おかしくない村ですが、
ここも隣のマイィやヴェルズネイと
状況が似ていてメゾンの力が強く、
カナール・デュ・シェーヌと隣村のシニー・レ・ローズに
本拠を置くキャティエとアルマン・ド・ブリニャックの
影響力が非常に強く、新世代のグローワーは
これまで出てきませんでした。
アルチュールも収穫ブドウ全体の内、厳然した35%のみを
ドメーヌ用に残し、残りはネゴスに売却しています。
しかし、アルチュールがリュードに登場したことで、
俄然、このエリアにも大きな注目が集まっています。
人為的介入を可能な限り少なくし、
テロワールを尊重したブルゴーニュのスタイルに
インスパイアされたアルチュールは、
複雑性と芳醇なアロマを強調した、
リュードのテロワールに敬意を表す
新しい感覚表現を追求しています。
アルチュールは樽の使用を熟知しており、
フレッシュさとミネラル感、
香りの純粋さを保ちながら、
エレガントで洗練された、五感を刺激してくれる
シャンパーニュを手掛けています。
また、ドメーヌでは、マッサル・セレクションの
ピノ・ファンの植樹や、畑の生物多様性を高めるための
アグロフォレストリーの導入、
醸造のさらなる洗練性の追求など、
継続的な進化と努力を続けています。
まだデビュー2年目で、生産量も2022ヴィンテージで
僅か6千本弱ですが、既にオランダ、デンマーク、
イタリア、英国、ドイツ、アメリカ、
カナダなどに輸出され、高く評価されています。
弊社も2024年の秋にドメーヌを訪問。
日本へのアロケーションを頂くことができました。
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