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2024年10月 | ||||||
★テッレ・ディ・ジオット/ミケーレ・ロレンツェッティ
●IGTトスカーナ・ノストラル・ビアンコ 2022
*IGT Toscana Nostrale Bianco 2022 / Terre di Giotto/Michele Lorenzetti
*杏のような果実感、
オレンジ由来の優しいタンニンがあり心地良い、
柔らかい薄いマンダリンオレンジの香ばしさ
酸のキレが良く全体を引き締め
心地良い緊張感も楽しめます。
2024年6月4日試飲
容量:750ml
生産年:2022年
生産国:イタリア・トスカーナ
生産者:テッレ・ディ・ジオット/ミケーレ・ロレンツェッティ
葡萄品種:トレッビアーノ、マルヴァジア・ビアンコ・ディ・カンディア
2024年10月 | ||||||
★ テッレ・ディ・ジオット/ミケーレ・ロレンツェッティ
AZIENDA AGRICOLA TERRE di GIOTTO/MICHELE LORENZETTI
★ミケーレ・ロレンツェッティは2004年からビオディナミのブドウ栽培と
醸造のコンサルタントとして、グラヴネルやイル・マッキオーネ、
ラ・ヴィショラなどイタリア全土の
数多くのワイナリーのコンサルタントをしている
イタリアのビオディナミワイン界では知らぬ人はいない巨匠です。
その彼がトスカーナ北部の冷涼な畑で造るワインが存在します。
栽培面積2.7haで、1つのワインの生産量は
千本前後程度というミクロキュヴェで、
一部ジョージア産のクヴェヴリによる醸造も導入しています。
英米でもまだ輸入が開始されたばかりのレアなワインです。
ドメーヌがブドウ栽培をするムジェッロは
アペニン山脈の麓にある渓谷で、
トスカーナでも極めて冷涼な気候に恵まれています。
19世紀にはブルゴーニュ出身の醸造家がピノ・ノワールなどの
フランスの高貴品種を栽培して、大きな成功を収めていましたが、
フィロキセラによって荒廃してしまいました。
ロレンツェッティは、この貴重な歴史を復活させるため、
そしてこの地の大きな可能性を証明するために、
ピノ・ノワールやシュナン・ブラン、ソーヴィニョン、リースリングといった
フランス系の冷涼品種を栽培してワイン造りに乗り出したのです。
1971年にローマ近郊のフラスカーティで生まれたミケーレは、
ローマの大学で生物学を修めた後、
さらに醸造学の学士号を取得しました。
しかし、その間に慣行農法のブドウ栽培では
いかに多くの化学薬品が使われているか、
そして土壌が単なる根に栄養分を与えるための人工的媒体にしか
見なされていないことに強い衝撃を受けたのです。
やがて、彼は土壌は生態系の一つであり、
植物が健康に成⻑していくためには
土壌が健康でなければならないという確信を持ち、
そして、この考えを実践に移すための方法を探す中で、
カルロ・ノロと出会い、ビオディナミを学びました。
そして、2004年からビオディナミのブドウ栽培と
醸造のコンサルタントとして活動を始め、
現在ではグラヴネルやイル・マッキオーネ、ラ・ヴィショラなど
イタリア全土の数多くのワイナリーでコンサルタントを行っています。
ミケーレのビオディナミの師であるカルロ・ノロは、
ローマの南にあるLabico ラビーコで農場を経営し、
30年以上前からビオディナミのプレパラシオン(調剤)の販売と
ビオディナミの講座を開催している、
フランスのピエール・マッソンのような、
イタリアにおけるビオディナミの重鎮的存在です。
ミケーレ・ロレンツェッティはコンサルタント業とは別に、
カルロ・ノロの協力者として、ビオディナミ調剤の生産や
ビオディナミの基礎講座などにも携わっています。
ワイナリーについて 〜テロワールの再発⾒〜
ミケーレはコンサルタントという職業の
経験的背景を完成するためには
実践的な仕事が不可欠と考え、
自身でもワイン造りをしたいという
想いを持っていました。
ある時、仕事でフィレンツェ北部のムジェッロ地区を訪れた彼は、
その地のミクロクリマに強い感銘を受けたのです。
ムジェッロは15世紀にメディチ家が
トスカーナ地方修めていた時代から、
ワイン造りのために選ばれたテロワールでした。
古文書によれば当時は29 ものドメーヌがあり、
数多くの果物、そして特にブドウが
栽培されていたと記述されています。
1867年にブルゴーニュ出身の
醸造家ヴィットリオ・デリ・アルビジが
父から広大な土地を相続します。
その土地にはブドウ畑がありましたが、
当時はトレッビアーノが栽培されていました。
しかし、彼はこの地で個性豊かなワインを造るために、
トレッビアーノをピノ・ノワールなどのフランスの高貴品種に
植え替えていったのです。
それはフランスの模倣ではなく、
高貴品種によってムジェッロの
テロワールの個性を表現するための試みで、
大きな成功を収めました。
しかし、フィロキセラによってブドウ畑は全滅してしまいました。
過去のこの貴重な経験を現代に蘇らせるため、
ミケーレは2006年にムジェッロ地方の
ヴィッキオのコミューンに土地を購入して、
自身のワイナリー、テッレ・ディ・ジオットを設立したのです。
ムジェッロ地区はフィレンツェの北東約25km、
アペニン山脈の麓にある渓谷です。
アペニン山脈からの冷たい風の通り道となっているため、
トスカーナでも極めて冷涼な気候に恵まれています。
加えて、昼夜の寒暖差が大きく風通しが良いため、
湿気が畑にたまらないという好条件が備わっています。
また、霧が眼下に立ち込めるほど標高が高いため、
霜の被害を受けることもありません。
この独特のミクロクリマと、
19世紀にフランス系品種が栽培されていたという歴史から、
ロレンツェッティはこの地には
冷涼気候の品種が向くと考えました。
そこで、ガッタイアと呼ばれる
標高500〜600mの斜面に位置する1.5haの区画に
ピノ・ノワール、シュナン・ブラン、ソーヴィニョン・ブラン、
リースリングといった品種を
2006年から2007年にかけて植樹しました。
このうちシュナン・ブランは、
2004年に友人であるマルク・アンジェリの下に滞在した時に、
マルクからフェルム・デ・サンソニエールで
マッサル・セレクションした
苗木2000本を譲り受けて植樹したものです。
また、2015 年には同じヴィッキオのコミューンにある
ペシオラと呼ばれる1.2haの畑を購入しました。
こちらは標高200メートルの南向きの斜面の区画で、
1972年に植樹されたサンジョヴェーゼ、
トレッビアーノ、マルヴァジアといった
地場品種が栽培されています。
ドメーヌの所有畑ですが、
地元の小さなブドウ栽培家3人と共同で栽培を行っていて、
収穫ブドウを4人で分配するため、
ドメーヌの受け取り分は20%のみです。
このため、1つのワインの生産量は
多くても1,000本にしかなりません。
どちらの畑もビオディナミで栽培を行っていますが、
ペシオラの畑は認証を受けていません。
ミケーレ・ロレンツェッティの解釈によるビオディナミ
ミケーレ・ロレンツェッティのビオディナミへのアプローチは、
現実的かつ合理的で、理論的・哲学的推測ではなく、
直接の経験と科学的研究に焦点を当てています。
彼はビオディナミについて以下のように述べています。
「ビオディナミはブドウ栽培家にとって大きなチャンスです。
ビオディナミを実践することは、
技術や方法を習得することだけでなく、
専門的かつ人間的に豊かな感受性を発達させてくれます。
ビオディナミは化学物質を除去し、
土壌とブドウの健康を強化してくれます。
ビオディナミは予防であり介入ではありません。
慣行農法においては、植物の成⻑に有利な土壌中の窒素や
リン、カリウムをベースとする肥料を
用いることに慣れてしまっています。
しかし、ビオロジックやビオディナミにおいては野菜や
動物に由来する有機物質に限って使用をしています。
有機物質とビオディナミ調剤によって
もたらされるメカニズムにより、
土中の腐植土が修復され、
ブドウ木はより強くより表現力豊かになります。
さらに、醸造添加物なして自発的に
醗酵できるブドウを収穫することが可能になります。
その結果、テロワールの強い個性と
アイデンティティーを備えた健康で
消化しやすい真のナチュラルワインが生まれるのです。
私は単なるワインメーカーになることには興味がありません。
造り手の背後にある私の役目は、
農業の最高のツールであるビオディナミを
提供することです。
まず何よりも大切なのはブドウです。
10年以上の醸造経験を通して、
自発的な醗酵だけが確実な結果を
与えてくれるということが分かりました。
外的な介入のないワインは、
純粋にブドウが育ったテロワールと、
そのヴィンテージの作柄の結晶であるのです。」
醸造について
ドメーヌでは、収穫したブドウを
野生酵⺟のみで自発的に醗酵させ、
培養酵⺟や酵素、その他のいかなる醸造添加物も加えず、
温度管理も一切行わず、清澄も濾過も行わない、
可能な限り外的介入のない醸造を行っています。
マロ醗酵もブドウ自身の力で自発的に
自然発生的に行われています。
白ワインの場合も100%のケースで行われています。
SO2はマロ醗酵の後、もしくは瓶詰め時に
ごく少量添加しています。
また、ドメーヌでは複数の品種の
ブレンドによるワインを醸造する場合、
全ての品種を醗酵前にブレンドして、
一緒に醗酵を行います。
ブドウ果汁がワインへと変換する過程は、
非常に繊細な工程であり、
単なる糖分のアルコールへの変化でありません。
この過程において、酵⺟は多くの生化学的側面で働き、
最善の方法でワインを形成するからです。
ミケーレ・ロレンツェッティは、
醗酵の後に異なる品種をブレンドすることは、
既に出来上がったワインを混ぜることであり、
ワインとして統一感を得るには
実践面で限界があると考えています。
最も統一感のあるワインを得るためには、
最初から全ての品種をブレンドして同時に醗酵させることが
理想であるということです。
醗酵後にブレンドをするという試みも行ってみましたが、
収穫の段階から異なる品種をブレンドする方法と比べた場合、
出来上がったワインは複雑性に欠けるとの治験を得たそうです。
このため、複数品種をブレンドするキュヴェに関しては、
ブレンドする全ての品種を同じ日に同時に収穫して、
同じ醗酵層で一緒にアルコール醗酵を行っています。
これは、かってブドウの品種が特定されていなかった時代に
普通に行われていたフィールド・ブレンドの手法と同じです。
フィールド・ブレンドから生まれるワインには、現代的な計算して
ブレンドするワインにはない複雑な味わいや
香りが備わると言われています。
いずれにしてもミケーレ・ロレンツェッティは、
ワインの醗酵の成否はブドウの品質に
完全に依存していると考えています。
その意味で、ビオディナミでブドウ栽培をすることが
何よりも重要であると考えています。
2018年からは、醸造にジョージア産の
クヴェヴリを導入しました。
このため、2018ヴィンテージからノストラルと
ソーヴィニョン・ガッタイアのキュヴェは
クヴェヴリで醸造されています。
VIVITさんの資料より。
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