二人は2011年、アヴィーズでのブドウ栽培と
醸造の研修で出会い、2013年に家族から
受け継いだ畑を基にドメーヌを設立。
最初の数年間はメニルにあるガレージを間借りし、
プレス機などの設備も周囲に借りながら、
ワイン造りを開始した。
2018年には念願のセラーをマルドゥイユに購入。
古い蔵であるため、決して煌びやかな設備が
整っている訳ではないが、
伝統的なバスケット・プレスも1台備え、
思い描いたワイン造りを実践できる土台を整えた。
夫のジャン・バティストはワイナリー設立前には、
マレイユ・シュール・アイ村の
ロジェ・プイヨンで研修を受け、
そこで初めて樽による自然酵母醗酵や、
馬による耕作、土壌管理の重要性に触れ、
大きな感銘を受けたという。
さらにオーガニック栽培や
醸造のノウハウを深めるため、
二人はアンセルム・セロスにも教えを乞い、
一流の生産者達との交流を通じて、
自らの哲学を磨いていった。
二人のフィロソフィーは
「地球環境への配慮と人的介入の制限、
そして家族から受け継いだ異なる区画の特性を
深く理解し、表現すること」。
化学物質は使用せず、オーガニック農法を実践し、
一部ビオディナミも取り入れる。
資源の使用を最小限に抑え、
健康な土壌を次世代に引き継ぐことを重要視している。
現在は4.8haの畑を所有し、
グラン・クリュのピュイジュー
(モンターニュ・ド・ランス)、
ル・メニル・シュール・オジェ、
オジェ(コート・デ・ブラン)、
さらにシャンヴォワジー、エペルネ
(ヴァレ・ド・ラ・マルヌ)
といった5つの村に26区画が点在する。
2023年にはフランスのオーガニック認証である
ABマーク(Agriculture Biologique)を取得。
ブドウの耐病性を高めるために、
ティーや煎じ液の散布、樹液の流れを尊重した剪定、
降水量に応じた草生管理、
表層のみの耕作を実施している。
収穫時は成熟度の見極めはもちろん、
温度管理にも工夫を凝らし、
通常使用されるグレーや黒色ではなく、
白色の収穫カゴを採用することで
ブドウの温度上昇を抑えている。
実際に濃い色の収穫カゴに入れられたブドウと比較して
約2℃の温度差が確認されており、
ブドウのフレッシュさや繊細な風味の維持に努めている。
醸造では介入を抑えたナチュラルな
醸造プロセスを採用しており、
区画ごとに圧搾・醸造し、軽いデブルバージュ後、
各区画のワインを自然酵母で発酵させ、
上級キュヴェについてはオーク樽で澱と共に
最低11ヶ月間熟成後、
ビオディナミのカレンダーに則り、
瓶詰やデゴルジュマンを行う。
また、生産者間の交流を活かし、
ワイナリー開始当初から、
ヴァン・クレールの発酵にセロスや
エグリ・ウーリエ、タルランから
譲り受けた古樽も使用している。
オーロール・カサノヴァのシャンパーニュは
L’assiette Champenoise(ランス***)や
Tim Raue(ベルリン**)といった
世界の星付きレストランでも採用されており、
2023年からはシャルトーニュ・タイエや
アグラパールなど同産地を代表する
一流生産者が所属する団体、
テール・エ・ヴァン・ド・シャンパーニュの
一員にもなっている。
Wine Advocateのウィリアム・ケリーは
2021年にドメーヌを訪問し、
「私が試飲したワインは、
繊細な骨格でありながら力強く、
凝縮感と緻密さがありながらも軽やかさも保っており、
”遊び心がある”と言いたくなるほどだ。
この最初の訪問は興味深いもので、
今後もカサノヴァの活動を追い続けるのが楽しみだ」と
記している。
今後、ますます注目を集めることは間違いないが、
年産本数は22000本程度と非常に限られている。
見つけたらぜひ手に入れたい1本である。
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