1992年にベルトランが畑を継いですぐさま有機栽培に転換し、
 1993年から除草剤の散布をやめましたが、
 長年にわたる化学肥料の影響で樹勢が強く、
 なかなか収量を抑えることができず、
 理想のブドウを得るまで時間がかかりました。
 ようやく2001年ヴィンテージを最初のリリースとすることができました。
 その間、土壌分析の世界的権威である
 クロード・ブルギニョンに栽培の教えを乞い、
 1998年からはビオディナミを実践し、
 1999年からアンセルム・セロスのかたわらで
 シャンパーニュ造りを学びました。
 ベルトランは、アンセルムの考え方と
 問題解決法から多大なヒントと
 影響をうけた醸造方法によって、
 2001年最初のキュヴェ・フィデルを
 4000本(ピノ・ノワール100%)造りだしました。
 2002年と2003年は5000本、
 2004年は10000本の生産量で
 今後これ以上生産量を増やす予定はありません。
 醗酵・熟成の多くは225リットルの樽でおこなわれますが
 アルノー・アントなど、ブルゴーニュの造り手から譲り受けています。
 シャルドネは2002年に買った400リットルの樽で醗酵・熟成されます。
 私は、シャブリでただ一人高質なヴァン・ナチュールを造る
 アリス・エ・オリヴィエに紹介されて、
 このワインに出会いました。オリヴィエは、
 「ベルトランのシャンパーニュを味わったら、
 ほとんど他のシャンパーニュはもう飲めない」と言いながら、
 強く私に会いに行くようにすすめてくれました。
 今ではすでに、パリの有名ビストロでひっぱりだこで、
 たとえばバラタンの黒板では、シャンパーニュは
 ジャック・セロス、ジェローム・プレヴォー、
 ヴエット・エ・ソルベの3種類だけがオンリストされています。
 いつも申し上げていることですが、
 シーヌがシャンパーニュを選ぶ基準は、
 造り手の個性とテロワールを映し出した、
 気品とエレガンスを備えたワインであることです。
 現在この国で話題になっている、
 「ビオ」の名のもとに売られているシャンパーニュには、
 とかく気品とエレガンスが欠けがちなような気がしませんか。
 あえて私たちは、ヴエット・エ・ソルベを
 ビオディナミで栽培されたことを強調すべきでないと考えます。
 偉大なシャンパーニュの造り手にまた一人、
 新星が仲間入りしたと考えています。
 畑と品種:
 Vouetteヴエット:1ha シャルドネ、2haピノ・ノワール
 Sorbeeソルベ:1ha ピノ・ノワール 
 どちらの畑もともに標高340mの斜面にあり、
 ヴエットは家のすぐ裏にある畑で、
 ソルベは果樹園と森に囲まれた斜面にあり、隣人もないので、
 ビオディナミの環境がよく維持されています。
 もっとも古い畑は樹齢が35年ですが、
 1985年と1986年の大凍結のために植え替えたので、
 大半の平均樹齢は20年です。
 この地域の平均収量は75~80hl/haですが、
 タイエを長くすれば200hl/haとすることも可能なので、
 途方もなく収量が多いのが現実のようですが、
 ゴトロの収量は枝一本あたり1房のみに仕立てるので、
 わずか20~25hl/haです。
 2003年は、ロゼを2樽造りました。
 シャルドネはこれまで自家消費用のみでしたが、
 2004年は100%シャルドネのキュヴェも作られました。
 ラシーヌ資料より
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