ワイナリーは1980年代後半に建設されましたが
祖父の死により父のフィリップが後を継ぎ、
1989年と1990年に最初のヴィンテージを醸造しました。
地球を汚染しないという
オーガニック農法の理念を超えて、
父は常に飲む人の健康を害さない、
消化しやすいワインを造ることに
心を砕いていました。
彼はワインに酵母や酵素を一切加えず、
990年代にはすでに瓶詰め直前に
少量の亜硫酸を添加するのみの
ワイン造りをおこなっておりました。
2002年には赤ワインへの亜硫酸添加を完全に中止し、
その数年後にはロゼワインにも添加を中止しました
(白ワインは2010年代半には
亜硫酸添加を中止して以来すべて無添加)。
なぜワインへの亜硫酸添加を止めたのか父に尋ねると、
彼の答えは明快でした。
「役に立たない、入れる必要がない」
また彼は常に、誰もが手軽に購入できる
リーズナブルなワインを造ろうと努めており、
ダニスもこの哲学を継承しています。
生産者ダニス
ダニスは家業の畑で育ちましたが、
ぶどう栽培とワインに興味を持つようになったのは
後になってからでした。
文学、哲学、歴史、地理、
そして特に社会科学に強い関心を持っていました。
文学学士課程を修了後、
大学では政治学を学びました。
ロンドンに移り住んでから、
たまたまではありますが飲食の仕事に就きました。
そこでは同僚から多くのことを学び、
世界各国のワインを知りました。
2年後家族のワイナリーに戻り、
ワイン造りを始めました。
そして翌年、
「DANIS dans la Vigne
(ダニス・ダン・ラ・ヴィーニュ)」を設立しました。
この会社では、実家のぶどうを購入し
独自のワインを醸造しますが、
2022年父が引退したことにより
ラントネも継承しました。
ダニスのワイン造り
ダニスはワインを造り始めて
まだ7年と若い生産者ですが、
彼の造り出すワインの完成度の高さには
舌を巻きます。
カオールというと、黒ワインという異名のように濃く、
タニックなワインを連想しますが、
ダニスの赤ワインを飲んでみると
そのかけ離れた印象に驚かされます。
確かに色合いはダークな色調ですが、
透明度が高く、飲み心地は浮遊感すら
感じられるほど軽やかなものです。
しかも口当たりは滑らかで、
タンニンは繊細。
丸く調和のとれた品のある味わいです。
祖父、父から代々受け継がれてきた
自然なワイン造りへの強い探求心が、
きっと完成度の高いワインを
生み出すのではないでしょうか。
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