★ケリー・フォックスは、歴史あるマレシュと、
 広大な自然の中にある美しいモンタジという2つの畑を借りて、
 自身の栽培した葡萄を用いてワインを造っています。
 テキサスA&M大学とオレゴン州立大学で生物学と生化学を学び、
 博士課題を修了する前には、
 彼女はワイン造りの道を選ぶことを決意していました。
 ワイン造りについては、教科書からではなく、
 オレゴンの熟練生産者たちの元でノウハウを習得しました。
 具体的には、トリイ・モア・ワイナリー、ハーマッハー・ワインズそして何より
 オレゴン最上のピノ・ノワールとして
 名高いジ・アイリー・ヴァインヤードの故デイヴィッド・レット氏から
 決定的な影響を受けています。
 そして、数々のワイナリーでの醸造を経験した後、
 2007年から自分自身のためにワイン造りを始めました。
 2005年から2015年までは、スコット・ポール・ワインズで醸造長として、
 働いていましたが、ようやく2016年VTから、
 自身のワイナリーのみに集中することがかないました。
         
  
  
   
 大きく分けて、モンタジ(Momtazi)とマレシュ(Maresh)の2つの畑から
 ワインを造っています。
 モンタジの畑は、2000年、故ジミ・ブルックス氏がケリーに、
 モエ・モンタジ氏を紹介したことから始まりました。
 葡萄よりも他の果実や植物の方が多く、
 広大な自然の一画をケリーが管理しています。
 ジミとモエは、畑を所有して以来ずっと、ビオディナミ農法を続けてきたため、
 デメター認証も持っています。火山性土壌で硬く水はけの良い土壌が特徴です。
 マレシュには、1970年に植樹された自根の葡萄が植えられています。
 1970年、ロイ&ジム・マレシュ夫妻がピノ・ノワールを植えたことが
 この畑の歴史の始まりです。
 葡萄の他にも、樹齢100年を超えるクルミやサクランボ等、
 沢山の果樹があります。
 一度も除草剤が使用されたことはなく、
 植樹されて以来ずっと有機農法が行われています。
 ダンディー・ヒルズA.V.Aに位置する標高500~700mの南斜面に位置する、
 火山性土壌です。
              
 すべての畑は別々の容器で醗酵されます。2011年から2014年は、30%除梗。
 2015年以降はずっと、全房醗酵で、醗酵前の低温浸漬は行っていません。
 何故なら、葡萄はたいてい早朝に収穫され、
 素晴らしい状態のままワイナリーに到着するからです。 
 各ヴィンテージ・畑・ブロック・醗酵漕はそれぞれ個別に扱われ、
 何ごとも、決まりきった慣習通りには行わず、舌と感覚を頼りに、
 醸造がおこなわれます。
 月と天体、1年を通して常に変わりゆくそれらの関係性と
 エネルギーに沢山の注意を払っています。
 自身が影響を与えることはせず、それらと繋がりを得るということが重要です。
 ラシーヌさんの資料より 
★研ぎ澄まされた緊張感は日本刀の様なシャープさに品やかな柔らかさを持つ。
 しかも静寂に包まれながら静かに語りかける様な詩的な
 感性を持ち合わせています。
 それにしてもゾクゾクするこの胸騒ぎはなんなんだろう。
 言葉少なに深く奥行きのある表現をしている。
 常々、きっちりとした表現のピノ・ノワールを
 伝えたい欲求に駆られておりましたが
 まさにこのワインは今の僕自身の条件を満たしてくれていました。
            
 森田屋の一番最初のオレゴンは当時山岡ゾーンが持っていた
 ソーコル・ブロッサーのウィラメット・ヴァレー・ピノ・ノワール1989年。
 純粋さに感動し、特に1995年が素晴らしかったので頑張って売りましたが
 僕の記憶によればウィラメット・ヴァレーを
 ドメーヌ・ドルーアンに売ってしまった後は納得いかない味わいに
 買うのを諦めてしまいました。
 その後、オレゴンの特にピノは気になりながらも買わなかった歴史があります。
 今回恐る恐る試飲してもう感動の嵐、純粋さはあの当時以上に感じました。
 頭や文字情報では絶対に飲んで欲しくないある意味大人のワインなのです。
 森田秀樹
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