本人の略歴:
 もともとヴァランタンは、栽培家を目指していたわけではありません。
 4年間ストラスブールで法律を学び、
 法律家として1年間経験を積みましたが、
 デスクに向かうだけの人生に興味を失い、
 先代の歩んできたワイン造りの道に戻ろうと決断。
 アルザスのロウファッハにてBTSを取得し、
 クレマン・クリュールで研修中に、自分の興味と情熱が
 “ナチュラルな方法で行うワイン造り”にあると自覚。
 それには畑でのビオディナミ栽培に留まらず、
 セラーの中でもブドウを尊重した造り方を
 追求する必要があると考え至りました。
 アルザスでは、同じ志を持つ先達のおかげで、
 良き指導者や助言者に出会えました。
 アルザスの栽培家たち(パトリック・メイエ、ブルーノ・シュレール、
 ジャン・ピエール・フリックら)と、
 彼らの厳しい栽培法から大きな感銘を受けました。
 また、醸造学の恩師から紹介されたヴァン・ナチュール専門の
 醸造家たちの醸造法から多大な影響をうけ、
 彼らは今でも醸造コンサルタント役をしています。
 ヴァランタンが、ジュラにおける
 ナチュラルな栽培の動きを知ったのもアルザスでした。
 ジュラに戻ったヴァランタンは、パスカル・クレレ、
 ドメーヌ・ピニエ、ステファン・ティソ、
 フィリップ・ボールナールなど、
 影響を受けたヴィニュロンたちにすぐに会いに行きました。
        
 哲学:
 ヴァランタン・モレルの哲学は、
 ルドルフ・シュタイナーに根ざしており、
 植物の観察と理解を通じて、生物の世界に対する感覚を
 高めることを目ざしています。
 それは、セラーや畑での介入を最小限に留めることでもあります。
 アルザス出身の知人から教わった福岡正信氏の著書からも、
 大きな影響をうけました。
 あれこれ手を加えるのではなく、何をしないことを学びなさい。
 彼から哲学と自然に対する向き合い方を学んだのです。
 ヴァランタンの父は、ビオロジック栽培家ではありませんが、
 農業におけるエコロジーを推し進め、
 1999年に除草剤の使用をやめました。
 畑では、ブドウの健康は
 コンディションの良い土壌から生まれると考え、
 微生物をできる限り活かした栽培に努めています。
 セラーでは、ヴァン・ナチュールの
 考え方にもとづいてシンプルに、
 ワインはアルコール醗酵した
 ブドウジュース(果汁)であるべきだと思い、
 最大限の個性を保つために、できる限り手を加えずに
 ワインを造っています。
 そのためには、より注意深く、できるだけ介入せずに
 見守ることが大切ですし、ワインはできる限り動かさず、
 亜硫酸は不使用もしくはごく微量にとどめています。
        
 畑について
 栽培方法:
 ビオロジック(認証あり)、
 ビオディナミ(認証なし、コンポスト500、501、508) 
 その栽培方法の開始時期:
 1999年:除草剤の使用中止 
 2014年:ビオロジック、ビオディナミへの転換
 栽培方法の将来的な展望:
 福岡正信氏(1913~2008、自然農法の提唱者)の
 自然農法を実践し、将来的にはビオディナミの枠を
 超えた栽培を手掛け、全面的に自作の肥料を
 使用していきたい。 
 土壌:粘土石灰質 
 自社ブドウ畑面積:5.5ha
 自社ブドウ畑の数:8ヶ所
 自社栽培ブドウ品種:
 シャルドネ、サヴァニャン、ピノ・ノワール、
 プルサール、トルソー、ポントという区画に
 植わるいくつかの古い品種
 ブドウ以外の自社農作物:なし
 主な仕立て方法:ギュイヨ式
 仕立ての支柱の素材:
 アカシアの木(自宅の製材所にて自作している※右写真)
 堆肥:自作、もしくは購入。(購入元:SICCARAPPAM en Auvergne)
 醸造について
 醗酵容器:ステンレスタンク(5~50hl)、
      フードル(30hl、50年以上の古樽)、
      木樽(228l)
 熟成容器:ステンレスタンク(5~50hl)、
      フードル(30hl、50年以上の古樽)、
      木樽(228l)、ドゥミ・ミュイ(500~600l)
 セラー環境:畑から2kmの場所にある。
       また、ポリニーの旧市街に、特に若いワインの醸造のための
       熟成用のセラー(17世紀に造られたもの)が3ヶ所ある。
 年間生産ボトル本数:15,000本。
 ラシーヌさんの資料より
      
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